災害が引き起こす白木のシミ

 

こんにちは、さいとうです。

昨年に起きた台風や地震などで、

数多くの家屋被害がありました。

 

自分が住む大阪も結構な被害があり

屋根裏や壁の亀裂からの雨水が漏水して

傷んだ箇所をリフォームされた後に

和室の白木の灰汁洗い、しみ抜きの

ご依頼を多数いただきました。

 

中には、トタン屋根全体が雨風で吹き飛んで

2階部分の和室が滝の様に流れ込んだと言った

一人暮らしのおばあちゃん宅にも

行かせていただきました。

【一人で大変怖い思いをした】と言っておられた

顔が印象的でした。

シミを抜き【復元】するまでの下仕事

超簡単に灰汁洗いの流れを説明すると

最初に、和室の白木の表面の状態を

確認して水で表面を水洗いしていきます。

この作業は灰汁洗い前の下仕事にあたります。

 

【薬品で洗うのに何故先に水洗いするの?】

と思われた方もおられると思います。

何故か…

 

今では、色々な灰汁洗いの

洗剤液などが売られていますが

やはり、主流となるのは

水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)が

主剤の一つとして使われます。

 

もちろん水で薄めて、酵素系の代表格の

過酸化水素と混ぜ合わせるなど

適正な希薄水溶液に調整後となるのですが、

 

もし木肌にいきなり汚れを落とす

事だけしか考えないで、

高濃度なアルカリ類を使用した場合

 

白木はアルカリ剤には弱いため

木の根幹である、繊維を開き白木表面の

汚れ共々白木の内部に押し込んでしまう

事になります。

 

汚を取るどころか、木肌もボロボロに荒れ

木材そのものを傷める原因にもなります。

アルカリ性は浸透速度も早く

深く入り込む性質もあります。

 

一度奥深く浸透した薬品成分を浮き上がらせ

て取り除くことはかなり難しくなり、

時間と共に白木の変色トラブルの引き金

になります。

 

そのために先に水洗いで表面の

軽い汚れやホコリなどを落としで一気に

薬品が吸い込まないように水をかます事で

 

開いた繊維を水の膜でガードする

と言ったようなイメージで

理解していただければ良いと思います。

和室灰汁洗いでシミを落とす流れ

水洗いと並行して灰汁洗いをしていきます。

木肌に優しく刷毛で灰汁をなじませていきます。

少し置いてナイロンパットでこすり洗いします。

 

すると、真っ黒な浮き出た汚れが出てきます。

その汚れを濯ぎ水でしっかりと濯ぎます。

そしてウエスでしっかりと水分を拭き上げます。

 

次に中和作業に入ります。

アルカリ焼けなど、白木が変色などのトラブルを

起こさないように適正な濃度に調整した

酸性水溶液を塗りこみます。洗った濃度と

同じ濃度の強さの水溶液で中和する事となります。

 

この作業もしっかりとしないと後日、

白木が黒く焼けて、変色して

しまう原因にもなります。(アルカリ焼け)

 

つぎに、雨染みや釘さびなどの

シミ抜きをしていきます。

シミの抜け具合を見計らい、最後は

薬品成分が残らないようにしっかりと

濯ぎ水で濯ぎます。そして

一度きっちり白木を乾燥させます。

 

最後に白木の仕上げに入ります。

主に、日焼けやカビを取り

白木の酸焼けも防ぎます。

最終的な色合いもここで調整して

白木の色合いを出して行く漂白工程に

なります。

 

当然最後には、きっちりと丁寧に

濯ぎ水で濯いで、拭き上げます。

この一連の作業を灰汁洗いといいます。

シミ抜き復元工事の認知度

復元工事の灰汁洗いの作業が

どの様な流れなのか、少しでも

おわかりいただけたかと思いますが、

 

最近はこの様な灰汁洗いで復元出来ると

言った事を知らない方も、意外とおられる

事に築かされました。

 

やはり、表面的には

灰汁洗いの需要は昔に比べて

少なくなっているのは事実です。

 

自分の考えとしては、

まず、和風的な住宅が少なくなり

新築で建てた物でも和室の部屋が無い住宅

も多々ある。(洋風化)

 

生活スタイルや利便性、健康面など

を考慮される影響で和室から

洋室にリノベーションする方の増加

 

使われている木材(内装材)が

無垢材(天然)が減り※集成材などの

材料が使用された和室が増えているため

洗えない。(単板やプリントもの)

※集成材
小さく切り分けた木材を乾燥させて接着剤で

組み合わせた人工の木材

 

あまり柱回りなどの美装を住むうえで

重要視しなくなった。

 

重要視する人以外は、リフォーム

予算からコスト削減などもあり

美装範囲から灰汁洗いを省く。

 

居住者が灰汁洗いを言わなければ

工務店や仲介業者もあえて提案しない。

 

そもそも灰汁洗いの知識や存在する

ことすら知らない。

 

灰汁洗いの施工業者を

その他のクリーニングと違い

居住地域で探し当てる事が出来ない。

 

余談ですが、建築関係や工務店様から

ホームページを見て連絡が入ることが

近年弊社でも増加傾向にあります。

 

それ以外にも多々ありますが、理由の

大方の見解になるとおもいます。

和室のリフォーム工事の選択肢

ちょっと別の角度からの見解でお話しして

みたいとおもいます。

 

今回、ブログでは損傷箇所をリフォームして

白木の柱回りを灰汁洗いで元の

白木に限りなく近づけて和室を

再生させる事を前提としたお話し

になりますが、

 

ただ、近年では、ライフスタイル、

家族構成、インテリアにこだわった

コーディネートを楽しみたいと言った

状況の変化や、自身のこだわりを

求める方や、生活環境の

改善点の一つとして、例えば

 

和室には必須でもある畳のデメリット

でもある、湿気を吸い込んだ

畳はカビやダニが発生しやすくアレルギー

などの健康面での問題などがある。

 

車椅子生活の方や介護などで

ベッドなどを設置するなど

全面フローリングの方が生活が

しやすいと、言った事もあり

 

使い勝手のよさなどもあり

和室~洋間にリノベーションされる方

も非常に多くなりました。

 

また、若年層の方の好みなどもありますが

先ほどの理由になどでも高齢者の方々の

和室の価値観も時代と共に変化しています。

 

ただ、逆に昔懐かしいレトロな感じを好む

人たちも数多くおられます。

 

あえて白木を真っ黒に色付けして

黒光りさせ、古民家風にアレンジしたりと

様々です。そのように和室一つとっても

時代の変化を感じさせてくれます。

 

それでは、和室や建具、外部の門屋、軒先

などの灰汁洗いをお考えの方は

是非、政美装のさいとうまで

お気軽にお問い合わせください。