【白木灰汁洗い】

こんにちは!さいとうです。

今年も年があけ早くも10日以上

経ちました。

 

毎日寒さが一段と厳しいです。

でもこれからが冬本番!

一段と本格的に寒くなります。

 

自分は寒さにめっぽう弱いですが、

気合で乗り切りたいと思います。

 

今日の作業内容は、

木造家屋の玄関回りの

白木の美装になります。

 

長年にわたって、

雨や風、土やホコリにさらされ

湿気などで特に硝子建具の表面が

ネズミ色に水ぐされを

起こしていました。

全体的に見ると経年変化で

白木が赤茶けています。

白く粉が吹いた所もあります。

 

その様な状態から、限りなく元の姿に

洗いをかけて復元する作業の事を

 

【灰汁洗い】と言います。

あくあらい と読みます。

みなさん聞いたことありますか?

 

聞きなれないとは思います。

自身もこの仕事に携わっていなければ

きっと知らなかったと思います。

灰汁洗いとは!

灰汁洗いは木で建てられた

木造建築家屋の外部の軒先、

軒下の垂木(たるき)や天上板、柱や、

梁、ハブなどから浮き出た木の灰汁や

 

経年変化で木肌が荒れたり、

外気にさらされ、黒くすすけた木を限りなく

元の本来の姿によみがえさせてあげるお掃除の

技術なんです。もちろん

 

内部の和室の天井や柱や床板なども

灰汁洗いによってすべすべ木肌になり、

色・つや・香りがなどが復活します。

 

新築の時とはひと味違った深みのある

落ち着き放った色合いになります。

 

白木灰汁洗いの洗浄方法も、

各お掃除屋さんによっては、

様々です。

 

灰汁洗いの歴史は古く

僕がまだ20代の頃お世話になった

そのころで70歳近い職人さんが、

 

「洗い屋とは本来は木部を専門で洗う職人や」

 

と言っていました。

洗い屋さんと洗い桶

そんな洗い屋さんの代表的な道具の

一つに僕も使っていますが、

【洗い桶】があります。

(画像は僕の道具です)

大阪 豊嶋木工所制作

材質 槙(まき)

口径  7.5寸

 

 

洗い桶には 槙、サワラ、杉などの

材種があるんですが

槙材は水に強く硬い木材で

耐久性があるので最適なんです。

サワラや杉はやわらかく、軽量で安価という

理由があるそうです。

 

↑これが洗い屋さんのシンボル的大事な道具の一つの

【洗い桶】です。

 

最近は持ってる方も少なくなりました。

洗い桶を持ちあるいているとよく興味深く知らない

人からも声をかけられることもあります。

 

じっと見られる事もあります!

 

決して墓参りにいくわけではありません(笑)

 

基本は水だけを入れます。洗いをする木部への

水打ちや木部を洗った薬品のすすぎ水につかいます。

「なぜ?なのか」ってもよく聞かれるんですが

 

桶を購入後自分たちで色を塗ります。

白木の木地のまま売られています。

 

漆(うるし)仕上げ

カシュー(代用漆)仕上げ

その他にはラッカー塗料を塗る

人など様々です。

 

何層も塗り重ねて肉厚が

必要ですので

乾きが早い、ラッカーは

仕上がりもダントツに早いです。

因みに、僕はカシューです。

 

色を塗る理由は汚れ防止と耐久性を保つためです。

塗装の色は外に黒、中は赤がお決まりです。

大阪なら黄色と黒があってもいいかな?(タイガース)

 

内を赤く塗ることで、水の透明度や汚れが確認しやすく

外を黒にぬるのは、土やほこりなどの汚れがわかり

やすく、常に清潔を保つ意味があると先輩の職人さん

に聞きました。

 

いやぁ~

かなり話がそれてしまいました。話が長くなり

ますので、また次の機会にしたいとおもいます。

灰汁洗いビフォーアフター

さっそく、お仕事させていただいた建物ですが

外観はこのような感じです。

 

 

 

 

 

※最後に仕上がった

画像と見比べてください。

 

 

 

 

 

 

らんまや玄関建具も外して洗浄機

で灰汁を噴霧して洗います。

 

 

 

 

 

 

玄関の方角が北面にあり、かなり湿気っています。

上のあたりは赤茶色に経年変化していますが

両サイドの腰板及び玄関ガラス建具はねずみ色に

 

なり、カビや水腐れを起こしています。

この状態で、灰汁洗いをしても仕上がりに

影響がでるので、まず(コソギ、コサゲ)といって

 

長年の歳月による経年風化により凸凹や変色した

木肌を一皮削る道具で下地調整してあげます。

 

このブログの洗い桶の画像写真に

少し見にくいと思いますが5本ほど

立てかけてある、細長い鉄板で、先が

ほぼ、直角におり曲がってるんです。

その先は木肌を削る刃になっています。

 

大工さんのカンナ的役割!

 

刃先の幅や長さもバリエーションがあり

職人は5本から10本ぐらい持ってます。

 

僕は、引退された方のも譲りうけているので

30本ぐらいあります。

 

削れ具合が悪くなると自分で刃を研ぎます。

その後、薬品でていねいに洗っていきます。

 

昔は木やワラなど燃やしてできた灰を木桶にいれて

その上から水をいれてよくかき混ぜ

灰を沈殿させたのち、その上澄み液【灰汁】を

釜で火にかけて温めた液で洗っていたと

 

先輩職人さんの話でした。

今現在は、苛性ソーダを基本に

過酸化水素やリン酸、シュウ酸、

フッ酸、シルブライトと言った

 

薬品を使ったりメーカーが

製造販売している洗剤

など使った作業方法が主流です。

 

灰汁は植物から得られるアルカリ性の液体

苛性ソーダは化学薬品から得る

アルカリ性の液体になります。

 

初めから液体の物もありますが

自身が、仕入れてる物の形状は

袋詰めされたフレーク状であり

 

必要な分だけ容易に水や

湯などに溶かして簡単に作れるし

持ち運びや保管などが

容易な利点があります。

 

きれいに仕上げる目的は同じですが

作業工程、洗剤、薬品、道具、

木の知識、木造建築、思考、など

経験はもとより、技術以外の事も

 

知っておかないと仕上がりに大変

関わってきます。

 

そのように、非常に奥深い所も面白さの

ひとつです。

白木の灰汁洗いで見事復元

最後に今回の仕上がりをアップしておきますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頑張った甲斐あってなかなかいい感じの

出来栄えです。

 

今回灰汁洗いのご依頼ありがとうございました。

きれいになってよかったです。

 

白木灰汁洗いのお掃除は

是非!政美装 さいとうにおまかせ下さい。